校舎解体をアート企画に。寝そべってでもいいから、やりたいことを表現しよう。

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校舎解体をアート企画に。寝そべってでもいいから、やりたいことを表現しよう。
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美術の先生とグラレコ先生のコラボ

吉田※以下吉)全校舎リニューアルに向けて、「西館(にしかん)」と呼んでいる愛着ある校舎の解体が決まったのは、2025年の年明け頃でした。どうすれば、生徒たちにアートで自己表現する楽しさを体感してもらえるのか、最初は、すごく悩みました。そこに、あかりんさんが参加してくれることになって。

あかりん※以下あか)私は、元々は英語科教員をしていたんですが、バックパッカーとして世界中を旅していることや、グラフィックレコーディングの活動をしていることに、井之頭学園の経営陣のみなさんが興味を持って下さって。「それなら、まずは、校舎解体アートプロジェクトに参加してほしい」って言ってくださったんです。すごくわくわくしましたね。先生でもあるし、プロジェクトにも参加するグラフィックコーチでもある。こんなことが実現できる学校って、なかなかないじゃないですか。
100年に一度の機会を自己表現のアートにする
吉)そうなんです。本学園は2032年に創立100周年を迎える伝統校ですが、今は、第二創業期とも言える、学校改革の真っただ中にあって。この1年余りで、学校全体も、先生方の働き方も大きく変わりました。通常の教科や担任とは別に、プロジェクト制を導入したのも大きな変化です。その中で、美術科教員である私が担当するのは、生徒たちの自由な表現力を育むアートプロジェクト。校舎を解体する機会なんて、人生においてなかなか立ち会えない機会じゃないですか。それを、どうやったら、生徒たちひとりひとりの「一生に一度の忘れ得ない自己表現」にできるのか。あかりんさんと、オンラインで何度も打合せをさせてもらう中で、グラフィックレコーディングが、その肝になると思いました。
あか)不安、見えなさ、怖さなど、微妙な心の層を表現できるようになれたら、人生の景色って変わると思うんですよね。「絵は苦手」とか「文章は書けない」じゃなくて、そのまま表現して共有していけるのが、グラフィックレコーディングなんです。
吉)今の子たちって、リールとかYouTubeですごいものをいっぱい観てるし、満足度低いじゃないですか。だから、ともすると最初からあきらめちゃう。でも、それってすごくもったいないですよね。もっと、自分がリアルに見聞きすること、触ることを信じられるようになってもらいたいんです。寝そべってでもいいから、自由に表現できるようになってほしい。そういう力を身に付けることが、たとえば、将来、外国人とコミュニケーション取った時に、自分の口から堂々と、自分自身のことや日本のことを発信できる力に繋がるんじゃないかなと。
これまで美術の授業の中だけでは難しかったことを、アートプロジェクトを通じて実現できつつあることが、私自身も、今、すごく楽しみです。
美術科教員 吉田昌子×グラフィックレコーダー あかりん